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北海道いじめ・暴力・ひきこもり治療研究会
 
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思春期における家族・学校・医療機関の連携の重要性
医療法人耕仁会札幌太田病院 3階病棟
森居 千春 長浦 千穂子 今井 佐千子 安井 麻由 久保 隆一 太田 耕平

1.はじめに 
 不登校や家出などを呈した女子中学生の入院治療を通し、家庭、更に学校、医療機関との連携の重要性を再確認したため、その過程を報告する。

2.症例紹介
A子、10代女性
診 断 名:非社会性行為障害
問題行動:不登校・家出


3.入院までの経過
 小学低学年時、両親が離婚。この頃から「学校に行きたくない」と遅刻が多く見られたが、登校はなんとか継続していた。小学高学年時、母親の内縁の夫との同居を始めると、友人宅を転々と外泊し、遊び代欲しさに親、友人からお金を盗んだ。中学入学後、友人が少なくなり完全な不登校となった。心配した教師が母親に受診を進めたため、母子で当院を受診し、入院となった。

4.治療経過
 入院後すぐに病棟内・内観療法を開始し、導入時「帰りたい、心細い」と内観室から自室に戻り泣く姿が見られた。しかし、徐々に素直に内観に取り組む姿勢が見られ始め、内観終了時には「辛かったけど親の気持ちに気づく事ができて良かった」と述べた。内観終了後の家族内観では、治療者から母親のA子に対する強い口調が指摘され、母親も「仕事の多忙からコミュニケーションが不足していた、また叱ってばかりいた」と気づき、A子に謝罪の言葉を述べた。一方、A子は家出や非行について、母親の気を引くためであった事を認識し、「今後は言葉で気持ちを伝えたい」と話し、病棟内・内観療法を通し母子関係の改善が見られた。

 その後、学校教諭らと相談した上で、母親の送迎による当院からの登校が開始された。学校からA子の登校状況について密に報告があり、院内では傾聴的サポート・個別の学習指導を実施し、学校との連携を深め登校が円滑に行えるよう支援した。時折、校内での問題的態度(言葉遣いが乱暴、周囲を振り回しわがままを通す等)が見られたものの、帰院後看護スタッフに気持ちを表出し整理する中で、登校も継続できていた。

 週末には外泊訓練を行ない、家族間交流の回復に努め、自宅からの登校も開始された。長期外泊期間も、問題なく登校も継続でき、入院から2ヶ月で退院に至った。


5.考察
 今回、病院と学校が一体となり、家族全体を捉え、それぞれの分野で工夫と支援をしたことは、A子の問題解決のみでなく、その背景にあるる家庭機能の改善に有効であった。思春期不適応では、その問題行動にとらわれず、その背景にも目を向けなければならない。そのため医療や教育機関などの第三者の包括的な支援が必要となる。その上で、当事者自身の問題解決能力を高めるようなサポートが重要となる。本例から学んだ地域連携によるサポートを、今後の思春期治療に活かしていきたい。
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