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北海道いじめ・暴力・ひきこもり治療研究会
 
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家庭内暴力の20代男性への病棟内・内観療法の経過
医療法人耕仁会札幌太田病院 急性期治療病棟
濱野 宏亮 佐藤 昌史 石川 正人 根本 忠典 太田 秀造

1.はじめに 
 引きこもり、家庭内暴力を呈した20代男性に対し、病棟内・内観療法や認知集団療法の併用により、自他肯定が可能となり、対人交流面等に改善が見られた症例を経験した。現在、治療中の段階ではあるが、当院の取組みを紹介し、今後の第3期治療の課題にも触れ検討したい。

2.症例紹介
 A氏、20代男性。大学中退後、職を転々とした。借金から生計が成り立たず親と同居。X年に独立し結婚、子供ができ、父への暴力で警察沙汰になったのを契機に妻子と別居した。その後、再び両親と同居したが、一日中部屋に引きこもりテレビを観て過ごした。父に対し些細な事で興奮・暴力が見られ、破損行為が頻回となり、再度警察が介入し、X+2年に当院に医療保護入院となった。

3.病棟内・内観療法・看護経過
 入院治療に不満があり、暴言・興奮が予測されたため、保護室使用を余儀なくされた。集中内観導入を試みたが拒否が強く、面接者の問いかけにも無言であった。そのため、保護室内で3度の病棟内・内観療法を行った。職員の根気強い説明と記憶回想への動機付けにより、「親にも相手にされていない気がして苛々していた」と自己否定感を話した。更に看護師、内観担当者が受容的に拝聴しA氏を尊重しつつ、看護者の内観体験・気づきを伝えると「父は悪くないのに父を殴ってしまった。謝りたい」と反省を述べた。2ヵ月後、保護室から一般病室への開放時、内観担当者に「内観中素直になれなくてすいませんでした。意地を張っていました」と詫びる場面も見られた。

 治療期第U期、認知集団療法への参加を拒否し、起床も遅く生活は不規則であった。治療への拒否、抵抗に対し、スタッフの父性的指導・教育により、認知集団療法への参加や生活リズムの改善がみられ、少しずつ自己表現が可能となり、治療意欲の増加を認めた。集団心理療法で病識を獲得し、暴力行為を反省し、同療法の司会・進行をするまでに至った。

4.考察
 定職をもたぬ不安・不満は引きこもり・暴力となり、その背景には自己否定感から自信を喪失し、対人関係の不安・恐怖などが根底にあると考えられた。看護者が内観体験を語り、受容的拝聴、かつ父性的指導を根気強く継続した。病棟内・内観療法、認知集団療法の併用により自信回復から自己肯定・表出が可能となり、反省から暴力行為を詫びるなど、段階的な全人的成長が認められた。

5.今後の課題
 第3期治療に向けて、退院の方法・時期については、単身で共同住宅に退院する事で本人も納得している。家裁の調停が一段落した時点で、開放病棟に移り、退院の方向を模索している。
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