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北海道いじめ・暴力・ひきこもり治療研究会
 
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行為障害を呈す不登校児の早期発見・治療解決の有効性
〜多様な病棟内・内観療法と家族療法の併用例〜
医療法人耕仁会札幌太田病院
奥村 弓恵 小田島 早苗 久保 隆一 阿部 一九夫 太田 健介 太田 秀造

1.はじめに 
 友人との葛藤を契機に発症した不登校中学生に対し、早期に家族療法、病棟内・内観療法を臨機応変に応用し、経過が良好な一例を報告する。

2.受診経過
 A子。小学高学年時の転校後「友人に悪口を言われている気がする」と数日間学校を欠席した。中学に入り、同級生との些細な葛藤から頭痛・腹痛・吐き気・希死念慮などを呈し、4〜5日間不登校となり、心配した母親がA子と来院し、病棟内・内観療法導入など不登校治療プログラムを導入した。

3.治療経過
[初診・導入時]
主治医より、母との1泊内観と、その翌日から両親の送迎で病院からの登校を勧めた。A子は持っていた鞄を乱暴に投げ、声を荒げ、不安や怒りを表出した。

[入院第T期治療]
屏風内内観を開始したが、不真面目な態度が目立ち内省が浅いのはやむを得なかった。翌日登校の勧めを拒否し極度に興奮したため、医師の診察後の指示により一時的な保護室使用を余儀なくされた。

[第U期治療]
医師の愛情ある指導的対応により2時間後には他罰的な態度を反省し、内観用紙への記入も熱心になった。面接時に「今朝のことを先生に謝りたい」と詫びる。数時間で精神状態が安定したので、自室に戻り内観を継続した。規則正しい生活習慣がないため、父性的内観指導と併せ、母性的生活習慣指導も必要とした。家族療法として、悩む母は病院で1週間の内観療法、父は自宅での記録内観を行ない、内観7日目に家族内観を実施した。A子は「始めは内観が嫌だったが、両親にしてもらったことをたくさん思い出した。これからは自分が出来る範囲で家の手伝いをしたい」と話した。家族スキンシップでは、母は「私の行動が夫やA子に悪影響を与えたが、自分次第で改善出来ることがわかった」、父は「家族3人でいる幸せを改めて感じた。A子には過保護であった」と反省を述べた。

[第V期治療]
その後全職員が支援して、朝の運動・学習指導・院内各職場見学・病院から保健室登校を継続した。親には学校教師との連携を指導し、父母の表情も明るくなり入院期間約2週間で退院した。


4.考察
 本例では、内観への抵抗に応じて、1日内観→屏風内内観→保護室内観→自室内観へと場所や方法を柔軟に変更しつつ治療が継続され、早期の再登校を可能にした。オペラント療法、認知行動療法などを臨機応変に併用しうる点が本療法の長所である。現在退院2ヶ月が経過するが問題なく元気に登校している。
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