北海道でのいじめ・暴力・ひきこもり治療について考える。体験発表や講演、研究報告、発表会情報
北海道いじめ・暴力・ひきこもり治療研究会
 
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治療体験1−A
家庭内暴力・ひきこもりを呈した
10代男性に対する入院治療
札幌太田病院 地域福祉課
○吉田嘉士 石川正人 佐藤 剛 中田篤子 小野修一 太田耕平

1.はじめに
 中学時より家庭内暴力、高校中退以降にひきこもり、興奮を呈した症例との関わりを通し、自己の問題の整理を行い、退院後の目標設定が可能になった経過について報告する。
2. 症例紹介
 A、10代男性。
中学時代から妹・弟に暴力をふるっていた。また、勉強についていけず高校を1年で中退した。その後、ひきこもり・昼夜逆転の生活を送り、破壊行為、刃物を持ち出すなど問題行動がエスカレートしていった。自宅で暴れて器物を破損した後、自宅付近でスコップを持ち徘徊しているところを警察に保護された。救急当番病院であった当院に搬送され入院に至った。
3. 治療経過
 入院時、無表情でスタッフの問いかけには一切応じず、入院直後に内観療法を開始するも、拒否的な姿勢であった。しかし、同年代の入院者によるピアカウンセリングの後から、拒否的な態度は次第に薄れ、治療に協力的となった。内観が進むにつれ、父への陰性感情と祖父の代から続く暴力の連鎖が明らかとなった。家族内観により、A・両親ともに率直な感情をお互いに伝えることできた。 Aは退院後の目標を、「進学か就労の間で揺れているが、現状ではどちらも困難ではないだろうか」と悩んでいた。そこで、デイケア通所の方法もあることを伝え、当院の2つのデイケアを見学した結果、就労への意欲が強まった。
 母は、Aが穏やかな表情になり口数も増えたことを喜び、「Aの希望を優先させたいが、現状では年令の問題や対人関係能力の未熟さから就労は時期早尚」と判断し、進学を優先させる考えであった。Aは治療プログラムに積極的に取り組み、入院中にイライラ感を呈した際も、「イライラしそうになると別な場所へ移動する」など自分で努力する姿勢がみられた。自宅への外出・外泊を繰り返し、その度に家族で話し合いを行い、さらに、病棟内でも学習指導を受けるうちに、A自身も「勉強してもう一度高校に行き、その後に働きたい」という希望を抱き、入院期間約3ヵ月で退院に至った。
4. 考察
 入院により家族と距離を置き、内観療法を施行することで、自己の内面と向き合うことになった。興奮を抑えて暴力をふるわないように自らの感情をコントロールしようと努力し、今後は話し合いでの解決が必要であることを理解した。入院生活により昼夜逆転の生活は改善され規則正しい生活を身に付けた。また、多くの人との関わりの中で現実をより肯定的に見つめ、将来の目標を考えるに至り、自宅への退院が可能となった。現在、Aはゆっくりとしたペースであるが自分なりのゴールを目指している。今後も長期的なサポートをしていきたいと考えている。
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